河村 葉子 Yoko Kawamura
心理カウンセラー/ゲシュタルトセラピスト
2006年 23年間勤めた企業を退職し,ハートフリースペースを開業
NPO法人ゲシュタルトネットワークジャパン スタッフ・ファシリテーター
センサリーアウェアネスジャパン 共同代表
日本ゲシュタルト療法学会 元理事
日本アロマ環境協会認定 アロマテラピーアドバイザー
Gestalt Awareness Practice Study Group Japan 修了
ドラマセラピー教育・研究センター エッセンシャル・トレーニング,アドバンス・トレーニング修了
全心連認定 上級プロフェッショナル心理カウンセラー
青山心理臨床教育センター 心理療法・臨床心理学・精神医学(理論・実践コース)修了
普遍アントロポゾフィー協会教育部門 シュタイナー教育教員養成講座運営委員会 第10期シュタイナー教育教員養成講座修了
私にとってゲシュタルト療法は,心理療法という枠を超えたものです。人間がどう生きているのか,「わたし」がどう生きるのかという哲学として捉えています。すべての一人ひとりが,真の自分らしさを取り戻し,いきいきと日々を暮らしてほしい。心からそう願い,その手伝いができる可能性に喜びを感じて,この仕事を始めました。一人ひとりのその人らしさ,その人の真実に出会えることが,何ものにも代えがたい胸が熱くなる瞬間です。
私たちが問題と取り組む時には,急ぐことなく自分のためにたっぷり時間をかけてみる。どのような気持ち,行動であれ,そのことに関心を向けて,やさしさを持ち,時にはユーモアを持って知ろうとしてみる。直接触れてみる。見えていなかったものが見えてくる,一部分しか見ていなかったものの全体が見えてくる。それだけで自然に視界が開けたり,緊張が緩んだり… これが「気づき」のプロセスです。あなたの,そんなプロセスの一瞬一瞬に共に居させてもらえることが,私自身をより豊かにしてくれる実感があります。このプロセスに,私もあなたも「自分についての仕事(Work)」をしているのだと思っています。
私たちは誰もが「鏡」を見なければ自分の顔を見ること,知ることができませんよね。カウンセラーが一緒に取り組むことは,自分専用の「鏡」を持つことに似ているかもしれません。同時に,私たちは困難に出会った時,一人では乗り越えることが不可能に思えたり,怖くて足がすくんだりすることがあります。そんな時,誰かが一緒にいてくれたり,見ていてくれたり,一緒に取り組んでくれるたりすると力が湧くものです。人間は一人で生きるようには生まれていないのですね。
かつての私は,自分で自分がよくわかっている,と思っていました。ところがゲシュタルト療法に出会いセッションを重ねる初期に,こんなにも自分に気づいていない,こんなにも知らなかったのか,と驚きうろたえた時期がありました。そのうろたえは,あっという間に自分や他者を発見する歓びに変わってしまったのですけれど,同時にゲシュタルト療法に触れることで生き方を学んでいると直感したのです。ワークを重ねた結果,確かに私は行動や気持ちが変化したのですが,それは私にとっては「変化」というより,ただ単に,元々の私がもっと私らしくなった,という感じがしました。
気づきのプロセスは,自分自身になるということ。それは何か新しい自分になるわけではなくて,すでに在る自分自身になる,なっていくこと。気づいていなかった,あるいはどこかに押し込めた、あるいは見ようともしなかった自分自身との繋がりを取り戻していくこと。そう実感しています。私たちは誰もが社会や世間の影響を受けながら生きていますが,いかに無自覚に人に教わった通りにしているのか,いかに自分の中にある自発性や創造性に関して無意識になっているのか,新鮮な驚きでもありました。
やがて私はセンサリーアウェアネスに出会い,一人ひとりの内側には生き生きと汲めども尽きない豊かな源泉があるかのように,環境に応じて自在にバランスを整えようとする働きが備わっていることの自覚が深まります。セッションのたびに自分の自在さに開かれていく体験を重ね,すべての自然,すべての人間の仕組みは,それはもうパーフェクトだと思ったりするのですが,恐らく私はその1/1000も知らないし,何もわかっていない。そう,今の私は「私は知らない」ということを知っています。
あなたとの出会いも,何も知らないところから始まります。知らないからこそ可能性がある,知らないからこそ見えてくるものがある。あなたも私も「気づく」という素晴らしい能力を生まれ持っているのですから!